NHKの受診料 公共放送の存在意義って何? 何故払いたくないのか。

私自身まだ20代後半と若輩者ですが、周囲の若者からNHK(公共放送)の受診料を払わない、払いたくないという意見をよく聞きます。今回はなぜ払わないといけないと言われているのか、そして何故払いたくないように感じるのか考察していきます。

 

まずはなぜ払わないといけないのか?というところから説明していきます。


私自身、義務ということは聞いたことありましたが、実際何故払わないといけないのか、はっきりとした理由を知っていませんでした。今回、調べてみて、どうやら放送法という法律を根拠に支払いの義務が生じていることが分かりました。

 

その義務の根拠は以下の文です。
放送法第64条(受信契約及び受信料) 】
第1項  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第126条第1項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

とのことで支払いの義務が生じるようです。

 

「じゃあ何でこんな法律出来たのだろう?」

「そもそも公共放送って必要なの?」

このような疑問が湧いたので調べてみました。

 

どこから調べたらいいのか分らなかったので、

まずNHKのホームページに行ってみました。

 

そこの「よくある質問集」というコーナーに

公共放送とは何かという説明がありました。

 

「電波は国民の共有財産であるということからすると、広い意味では民放も公共性があるということになりますが、一般的には営利を目的として行う放送を民間放送、国家の強い管理下で行う放送を国営放送ということができます。これらに対して、公共放送とは営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送といえるでしょう。」
「NHKは、政府から独立して 受信料によって運営され、公共の福祉と文化の向上に寄与することを目的に設立された公共放送事業体であり、今後とも公共放送としての責任と自覚を持って、その役割を果たしていきます。」

実際のページも載せておきます。

http://www.nhk.or.jp/faq-corner/01nhk/01/01-01-02.htm

 

読んで頂いて分かるようにとてもきれいなこと書いてあります。

しかしながら、

「なぜ公共放送が出来たのか?」

「どんな強みがあるのか?」

という点がいまいちピンと来ないですよね。

正直この説明では、支払う必要性が感じられないように思います。

もっと詳しく説明を載せるべきだと思います。

 

継続して調べてみたところ、

放送法の第20条に公共放送の意義についての説明があることが分かりました。

この中には

『協会は、中波放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない』

という文があります。これは簡単に言うと、

公共放送の目的として、例え離島であっても、日本全国どこにいても、電波を受信できニュースなどの情報に触れることができるようにする

という事のようです。確かにこれは、利益を求める民放には、このような目的をもっての行動は行えないので公共放送を行う意義が感じられました。

また、NHK民間放送との最大の違いは、国民から直接お金を集めることが出来るので「倒産することがない」放送局という強みがあるとの事がわかりました。

具体的に言うと、実際には無いと思いますが、仮に大恐慌がやってきたとします。

その際、各々の企業は自分の企業が生き残ることに必死ですので、テレビの広告料などに回す予算が減ってくることが考えられます。そうなった際に、民放のTV局にスポンサーが集まらなくなり、番組を制作することが困難となることが考えられます。そんな時でも公共放送は、予算がスポンサーに依存していないので、番組の制作が出来、通常通りの番組を流し続けることです。

他にも存在意義として、NHKがなかったら、教育番組にまでスポンサーが付いてしまうという問題があるようです。

なんとなくですが公共放送の存在意義や、支払わなくてはいけないという事については理解できたと思います。

 

じゃあ何で支払いたくないと感じるのか?というところについて考えていきます。

 

他にも多々理由はあるかも知れませんが、大きく次の3つが考えられると思います。

 

①受信料が高く感じる。

NHKの社員って給料が高いって聞いていて気に食わない。

③実際NHKを見ていないし、見たい番組が無いから。

 

①受信料が高く感じる。については実際はどうなのか調べてみました。

調べてみたところ、昨年(2015年)の10月1日にNHKの籾井勝人会長

「NHKの受信料は、欧米各国の公共放送と比べて安いんですよ」
 との発言をしたことが分かりました。ここでは実際に安いのかどうなのか検証していきます。

産経新聞が2014年1月時点で調べたデータでは、1年あたりの各国の料金は

ドイツ=2万9127円(215・76ユーロ)

▽英国=2万3425円(145・5ポンド)

▽フランス=1万7955円(133ユーロ)

▽イタリア=1万5322円(113・5ユーロ)

となっており、NHKの年額1万3990円はこれらの国々と比べると、決して高くないということが分かります。となるとこのNHK会長の発言は、そんなに間違っていないのではないかと感じます。しかし全くNHKを見ない人にとっては、年額1万3990円はやはり高く感じると思います

個人的には、公共放送は、日本に必要だと考えていますので、テレビがある世帯は全て支払わないといけないという形は残していいと思います。しかしながら、よく見る人とあまり見ない人とで支払う金額が同じというのには、ある種の不公平さを感じると思います。

年額1万3990円ということは、月当たり約1160円の支払い請求していることになります。現在の日本の技術を考えると、別個の装置をテレビにつけることで、月平均NHKを何時間視聴したのか等の情報を管理することも可能になっていると思います。このような工夫を行い、ほどんど視聴していない人に対しては安めの請求(例えば月当たり500円程)を行い、視聴する機会が多い人に対しては多めの請求(現在の1160円程)を行うなどの制度にすれば、受診料が高く感じることから生じる、支払いの拒否は減るのではないかと感じます。

 

 

 NHKの社員って給料が高いって聞いていて気に食わない。についても調べてみました。

これは、ある種のやっかみのようなものですが、実際NHKは給料を公表しており、2015年の平均年収は1150万円ということが分かりました。過去の給料の平均も出ており例年1000万円を超えていることも分かりました。やはりこのNHKの社員は高い給料をもらっているというのは正しいようです。

じゃあどの位の給料なら納得できるのか?と考えると難しく感じます。

私が考えた結論として公務員の平均年収と近い額であるべきではないかと思います。

もちろん、NHKの職員は公務員と違うということは分りますが、実際には、国民のお金を集めてその財源から給料を支給しているという事を考えると似た系統の額であれば、こういった話しはあがってこないと思います。公務員の給料は国家公務員と地方公務員では異なっていると聞いていますが、二つをまとめた、平均額は700万円前後と聞いています。それでも一般企業と比べると十分な額ですし、NHKの給料も参考にして良いのかなと感じます。

 

 ③実際NHKを見ていないし、見たい番組が無いから。この理由により支払いをしたくないと感じている人が最も多いのではないかと思います。NHKの番組のイメージとしては、民放の番組と比べて真面目な番組が多く、また高齢者を対象としており、あまり騒がしくない番組が多いように感じます。映画を放送することもありますが、どことなく道徳的なテーマが強い作品を好んで放送しているように感じます。もちろんそういった番組を好んでみる若者も多くいると思います。しかしながら、視聴率ランキングなどをみると分りますが、そういった真面目な番組が必ずしも高視聴率となっているわけでなく、より娯楽色の強い番組が高い視聴率を示していることが多いことが分かります。

もちろん元々の公共放送の目的は、「公共の福祉と文化の向上に寄与すること」となっていますので、前述した真面目な番組が多いということ自体は、間違ってはいない状態だと思います。しかし、最近のNHKでは若い層の視聴者を増やそうと意識し、娯楽職の強い番組も少しずつ増えてきている様に感じられます。しかしながら、これらの娯楽職の強い番組もいまいちパッとしていない印象があります。これは、やはり民放と比べて、視聴率に対する意識が低く、予算が非常に多いことが要因としてあるのではないかと感じます。民放の放送では、少ない予算の中でも工夫を行い、視聴率を稼ごうという努力を行っています。しかしながら、あくまでも私の主観ですが、NHKの番組では、視聴率を稼ぐという意識が低く、予算をかけた高い品質の番組だからおもしろいだろ、とある意味自己満足に近い形で番組が作られているように感じることもあります。

本来の公共放送の趣旨と異なりますが、若い層の視聴者を増やそうという考えを持っての番組作成は、NHKが受信料からの収入を安定して集めていくためには需要なことだと思います。今後は、今まで通りの多い予算で、他の民放のように視聴率を意識した工夫を凝らした番組を作ることが出来れば、自然と若者の視聴者も増えていき、受診料の支払い拒否も減っていくと思いますので頑張って頂きたいと思います。